ビタミンD生成に必要な紫外線照射時間と人体に有害となる紫外線照射時間 (つくば局)
日本人のスキンタイプを国際標準のⅢと仮定して (文献10、11)、顔と両手の甲の面積に相当する 600 cm2 の皮膚を天空に向けたときに、さらに腕、足などを露出・照射し、その皮膚面積を 1200 cm2 としたときに、10 µg のビタミンD量を必要とした場合に、そのビタミンD量を生成するために必要な時間を求めることができます (文献2)。この時間は顔と手の両甲だけでなく、腕、足など露出した肌の面積を広げることによって必要な時間を短縮することができます。このグラフは顔と両手の甲、600 cm2 に加えて肌の露出部分を 1200 cm2 とした場合の体内で 10 µg のビタミンDを生成する時間も同時に示しています。
このグラフには、その日の正時30分毎の時刻の紫外線を、同様に照射したときに、皮膚に直接的に害を与えるとされる紅斑を生じさせる最少の時間 (MEDに到達する時間) も示しています。紫外線の過度の照射は種々の疾患を誘発することが知られていますが、皮膚に及ぼす有害な影響は、それを照射した肌にのみ作用することも知っておくとよいでしょう。
図中のグレーの部分は 10 µg のビタミンDを生成する場合、皮膚の露出・照射面積をそれぞれ 600 cm2、1200 cm2 ともに60分以上必要な時間の範囲を示します。同様に有害な紫外線に対しては、MEDに到達する時間が60分以上であることを示しています。逆に白抜きの時間はそれぞれ60分内に 10 µg あるいはMEDに到達することを意味しています。1時間という時間の区切りをつけて図を見やすくしています。
これらの時間はその日の時間帯などの日光照射の条件によって変化し、さらに、個人のスキンタイプによっても異なってきます。したがって、自身のスキンタイプを知っておくことも必要です。スキンタイプがⅡまたはⅣなどのⅢと異なったスキンタイプの場合はそれぞれのスキンタイプに換算する必要があります (表1の補正係数を参照)。また、必要なビタミンD量は、食物からも摂取することができることから、個人の食生活を勘案し、また紫外線の少ない地方の冬季には場合によっては補給剤からビタミンDを補うことも重要です。
なお、各観測地のビタミンD生成・紅斑紫外線照射時間のグラフは以下リンクからご確認いただけます。
落石岬局 (北海道)、陸別局 (北海道)、札幌局 (北海道)、青森局 (青森県)、つくば局 (茨城県)、横浜局 (神奈川県)、名古屋局 (愛知県)、大津局 (滋賀県)、大阪局 (大阪府)、宮崎局 (宮崎県)、波照間局 (沖縄県)。