第5次調査データセット
概要
全国環境研協議会(全環研)・酸性雨広域大気汚染調査研究部会では、1991年(平成3年)以来、4度にわたる全国調査が行われ、日本全体の酸性雨の概況を広域的な形で初めて示すなどの成果を収めてきています。2009年度からは部会の名称を[酸性雨調査研究部会]から「酸性雨広域大気汚染調査研究部会」と改め、東アジアからの影響を含めた広域大気汚染の解明も目的とした第5次調査を始めました。第5次調査では、第4次調査に引き続き、湿性沈着と乾性沈着それぞれについて効率よく評価するための調査が実施され、乾性沈着調査では、大気中のガス成分と粒子状成分をそれぞれ精度よく測定できるよう、2つの手法(フィルターパック法及びパッシブ法)による調査が行われています。
環境省は酸性雨モニタリングに関する国と地方自治体などのすみわけを明確化させるとともに、全環研など自治体データの活用方法ならびに国設局データとの関係を明確にしています。このような中、環境省の協力のもと、酸性雨標準試料による精度確認が継続的に行われ、自治体の対処能力を向上・維持するとともに、全環研を中心とした自治体データの信頼性の確保が図られています。
本データセットは2009年度(平成21年度)から始まった第5次調査の調査研究成果のまとめを全国環境研協議会より提供していただき本ウェブサイトより公開するものです。 公開データおよび資料はダウンロード版のみです。ユーザーの方は必要箇所を各自でダウンロードの上ご利用ください。
本データを使用して論文等を公表される場合は、全環研会誌の該当年度報告書を引用していただくとともに、URL(http://db.cger.nies.go.jp/dataset/acidrain/ja/05/)を記載してください。
調査目的
2009年度から始まった第5次調査では、これまでの湿性沈着と乾性沈着の調査に加えて、窒素成分のより高度な沈着量の把握やバックグラウンドオゾン濃度の把握なども含めています。
【湿性沈着調査】酸性沈着のうち湿性沈着に関する調査研究:国際的に標準的な方法である降水時開放型捕集装置(ウェットオンリーサンプラー)によりモニタリングを行い、国内における湿性沈着成分に関して量的な空間分布を把握することを目的としました。
【乾性沈着調査】フィルターパック法及びパッシブ法による大気中の乾性沈着成分(ガス/エアロゾル)濃度の測定を行うとともに、乾性沈着量の推計を行い、日本国内における乾性沈着成分に関して量的な空間分布を得ることを目的としました。なお、パッシブ法については小川式(O式)に統一することにより、広域的な解析・とりまとめを目指しています。
採取分析方法等
調査期間および調査実施時期
- 【湿性沈着調査】 48機関 66地点(2011年度)
- 降水時開放型捕集装置による通年調査。1週間単位での採取を原則とするが、2週間あるいはそれ以上での採取も可とし、その場合、冷蔵庫付き捕集装置の使用を推奨しています。測定項目と測定方法は表に示すとおりです。最終的なデータはあらかじめ定めた4週ないし6週(詳しくは報告書参照)分をまとめて月データとして報告しています。
- 【乾性沈着調査】 35機関 54地点(フィルターパック法:36地点 パッシブ法:38地点)(2011年度)
- 湿性沈着調査と同様に通年調査とし、1〜2週間単位を原則。最終的なデータはあらかじめ定めた4週ないし6週(詳しくは報告書参照)分をまとめて月データとして報告しています。
分析項目とその方法
項目 | 測定方法 | 単位 |
---|---|---|
pH | ガラス電極法 | - |
EC | 電気伝導率計 | mS/m |
SO42− | IC法 | µmol/l |
NO3− | IC法 | µmol/l |
Cl− | IC法 | µmol/l |
NH4+ | IC法, インドフェノール法 | µmol/l |
Na+ | IC法, 原子吸光法, ICP法 | µmol/l |
K+ | IC法, 原子吸光法, ICP法 | µmol/l |
Ca2+ | IC法, 原子吸光法, ICP法 | µmol/l |
Mg2+ | IC法, 原子吸光法, ICP法 | µmol/l |
降水量 | 貯水量を捕集面積で除す | mm |
- IC法:イオンクロマトグラフ法
- ICP法:誘導結合型プラズマ発光分析法