観測方法

調査の概要

国立環境研究所では、1981年から摩周湖でのモニタリングを開始しました。1994年に摩周湖はGEMS/Waterベースラインモニタリングステーションとして登録され、GEMS本部へデータ提供を行っています。近年は主として年2回の観測を行ってきました。湖水が循環するの春期(5月末から6月初め)と温度成層が発達した夏期(8月末から9月初め)に、最深部で水温、電導度などの水深ごとの観測値を得るとともに、複数の水深層から湖水を採取・分析しています。さらに、水中に観測器を吊して自動的にデータを採取することで、積雪や結氷にはばまれて観測することが難しい厳冬期を含めた年間の水質データを得ています。

調査では、高低差約160mの急峻なカルデラ壁のガレ場をロープを伝わって昇降しなければならず、採水道具や大量の湖水試料などの運搬は困難を極めます。現地調査と化学的・物理的・生物的項目の分析は、国立環境研究所ばかりでなく、道総研環境科学研究センター・北見工業大学・北海道大学・日本大学・山梨大学等との専門性に応じた共同研究体制をとっております。また、弟子屈町をはじめとする地元の自治体、団体にもさまざなご協力をいただいております。

摩周湖水中の物質濃度は低く、その測定には特殊な技術が必要とされます。また、そのユニークな環境から他の湖沼と比較対象とすることも興味ある課題です。そのため、すぐれた技術をもつ大学等研究機関との共同研究も実施しております。

なお、摩周湖長期モニタリングは、2017年の観測をもって終了しました。2018年には摩周湖環境保全連絡協議会(「協議会」)が発足し、摩周湖周辺5町(弟子屈町・清里町・別海町・中標津町・標茶町)や道総研、国環研などが参加した組織が立ち上がり、「協議会」に観測が引き継がれました。その結果、水温などの連続データ採取は、現在も継続しています。これらのデータを含め、摩周湖に関する貴重な観測データは、今後とも長期モニタリングデータベースとして公開して行く予定です。

調査地点

摩周湖では水深211m(近年は212mになっています)の最深部をはじめ、下図のように水深の異なる複数の地点で観測を行ってきました。データベースには、過去に他機関によって観測された透明度の情報なども含まれています。これらの観測点については、調査地点のページに別記しました。

調査地点

観測項目と方法

摩周湖では水中の物理・化学項目の現場観測、水試料を採取して分析することが主ですが、水試料のほかにも、底質、大気、生物試料を採取・分析しています。これまで観測を行った各項目の代表的な分析手法について観測項目のページに記載しています。

夏季調査風景 冬季調査風景

摩周湖調査(夏と冬)

摩周湖調査に関するお問い合わせ:

国立環境研究所 環境計測研究センター
田中 敦
Email: biodiv.data@nies.go.jp