全国酸性雨データベース

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第6次調査データセット

概要

全国環境研協議会(全環研)・酸性雨広域大気汚染調査研究部会では、1991年(平成3年)以来、継続的全国調査が行われ、日本全体の酸性雨の概況を広域的な形で初めて示すなどの成果を収めてきています。2009年度からは部会の名称を[酸性雨調査研究部会]から「酸性雨広域大気汚染調査研究部会」と改め、東アジアからの影響を含めた広域大気汚染の解明も目的とした第5次調査を2015年まで行いました。2016年からは間を置かず第6次調査を開始し、第5次調査に引き続き、湿性沈着と乾性沈着それぞれについて精度を上げた観測方法に改良し、乾性沈着と湿性沈着、さらにはオゾンの調査も引き続き行い、地域的な特徴などの調査を行っています。

環境省は酸性雨モニタリングに関する国と地方自治体などのすみわけを明確化させるとともに、全環研など自治体データの活用方法ならびに国設局データとの関係を明確にしています。このような中、環境省の協力のもと、酸性雨標準試料による精度確認が継続的に行われ、自治体の対処能力を向上・維持するとともに、全環研を中心とした自治体データの信頼性の確保が図られています。

本データセットは2016年度(平成28年度)から始まった第6次調査の調査研究成果のまとめを全国環境研協議会より提供していただき本ウェブサイトより公開するものです。 公開データおよび資料はダウンロード版のみです。ユーザーの方は必要箇所を各自でダウンロードの上ご利用ください。

本データを使用して論文等を公表される場合は、全環研会誌の該当年度報告書を引用していただくとともに、URL(https://db.cger.nies.go.jp/dataset/acidrain/ja/06/)を記載してください。

調査目的

第6次調査は,日本全域における大気汚染物質濃度およびその沈着量の把握を目的として湿性沈着および乾性沈着のモニタリングを実施しています。

湿性沈着に関しては,従来通り国際標準の方法である降水時開放型捕集装置(ウェットオンリーサンプラー)による湿性沈着の把握をおこなっています。

乾性沈着に関しては,大気中のガス/エアロゾル濃度の測定により沈着量の見積りを行うことを目的とし、その精度向上を目指して以下のような方法を併用して用いています。

(i)ガス/エアロゾル濃度の測定を行うフィルターパック法(以下,FP法),(ii)ガス濃度の測定を行うパッシブ法,(iii)自動測定機による測定

第6次調査の特徴としては,窒素沈着の実態把握をテーマの一つとし、反応性窒素成分である湿性のNO3-およびNH4+,乾性の粒子状NO3-およびNH4+,ガス状のHNO3(測定されている場合はHONOも含む),NO2,NOおよびNH3を対象に窒素沈着量を評価することを目標にしています。またFP法において粗大粒子と微小粒子(PM2.5)とを分けた採取を推奨し,従来の4段ろ紙法の構成に加え,前段にインパクタ(I0ろ紙)を装備した5段構成により行うことを行っています。これにより、粒径別の成分の挙動を把握するとともに,乾性沈着量推計において粒径の影響を考慮することができる上、PM2.5などのデータも加わることになります。

採取分析方法等
調査期間および調査実施時期
【湿性沈着調査】 47機関 64地点(2016年度)
降水時開放型捕集装置による通年調査。1週間単位での採取を原則とするが、2週間あるいはそれ以上での採取も可とし、その場合、冷蔵庫付き捕集装置の使用を推奨しています。測定項目と測定方法は表に示すとおりです。最終的なデータはあらかじめ定めた4週ないし6週(詳しくは報告書参照)分をまとめて月データとして報告しています。
【乾性沈着調査】 26機関 39地点(FP法:30地点,パッシブ法:22地点,自動測定機:19地点)
湿性沈着調査と同様に通年調査とし、1?2週間単位を原則。最終的なデータはあらかじめ定めた4週ないし6週(詳しくは報告書参照)分をまとめて月データとして報告しています。
採取方法ならびに分析方法

分析方法等は5次調査までと同様に行われていますが、6次調査から乾性沈着測定に用いた新たな5段ろ紙法と従来法の比較を表に示しました。

表. FP法およびパッシブ法の捕集ろ紙

構造 捕集ろ紙名
FP法4段 1段目(F0) テフロン(PTFE)
2段目(F1) ポリアミド
3段目(F2) K2CO3含浸セルロース
4段目(F3) リン酸含浸セルロース
FP法5段 1段目(I0) ポリカーボネート製PM2.5インパクタ+石英繊維ドーナツろ紙
2段目(F0) テフロン(PTFE)
3段目(F1) ポリアミド
4段目(F2) K2CO3含浸セルロース
5段目(F3) リン酸含浸セルロース
測定項目 捕集ろ紙名
パッシブ法 NO2 トリエタノールアミン(TEA)含浸ろ紙
NOx (TEA+PTIO)含浸ろ紙
NH3 クエン酸含浸ろ紙
O3 (NaNO2+K2CO3)含浸ろ紙
  • IC法:イオンクロマトグラフ法
  • ICP法:誘導結合型プラズマ発光分析法