全国酸性雨データベース

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第2次調査データセット

概要

酸性雨の調査研究には広域的側面と地域的側面があり、全国にネットワークを持つ全国公害研協議会・酸性雨調査研究部会は、組織のメリットを活かしてその両側面にわたる調査研究を続けてきています。1991年(平成3年)4月から3年間にわたって実施した「酸性雨全国調査」に引き続き、1995年度(平成7年度)からはその調査結果を踏まえ、新たな3カ年計画で共同調査を実施しました。

本「第2次酸性雨全国調査」は、気象条件が対照的な梅雨期と降雪期に特に焦点を当て、日単位で大気降下物を捕集することにより、大気汚染物質が大気中から除去される過程とその地域的特徴の解明に資するデータの取得を図ったものです。

ここに公開するデータは、この第2次酸性雨全国調査の結果について全国公害研協議会より提供を受け、整理したものです。データはダウンロード版のみです。

本データを使用して論文等を公表される場合は、全環研会誌の該当年度報告書を引用していただくとともに、URL(http://db.cger.nies.go.jp/dataset/acidrain/ja/02/)を記載してください。

調査目的

日本を含む東アジア地域から大気中に放出される汚染物質の夏季および冬季の動態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的としています。

調査方法
(1) 調査期間および調査実施時期
調査期間:
1995〜1997年度(平成7〜9年度)の3カ年
調査実施時期:
  • 夏季調査 6月下旬の2週間
  • 冬季調査 1月下旬の2週間

表. 調査実施期間

調査年度 夏季調査 冬季調査
1995年度 6月19日(月)〜6月30日(金) 1月22日(月)〜2月2日(金)
1996年度 6月17日(月)〜6月28日(金) 1月20日(月)〜1月31日(金)
1997年度 6月16日(月)〜6月27日(金) 1月19日(月)〜1月30日(金)
(2) 試料捕集周期

日界を原則として9時とする日単位で捕集するものとしましたが、試料捕集地点が遠隔地である場合には、この時間にこだわらず、試料捕集を優先しました。金曜日の9時から月曜日の9時の期間は捕集しないこととしています。

(3) 捕集方法

高密度ポリエチレン製のバケット[トスロン密閉容器(白色、直径28.5cm、高さ38.6cm)]を地上1m程度の高さに、風で転倒しないように設置し、周囲に鳥除け用にステンレス製針金を立てた。

(4) 試料の回収および前処理

試料捕集に使用したバケットは、中性洗剤で洗浄後、純水で十分すすぎ、すぐに清浄なワイパーで水分を拭き取り、蓋をして(密閉を確認し)重量を測定しました。

試料の回収時にはあらかじめ洗浄され、重量測定済みの密閉された新たなバケットと交換しました。回収したバケットは、蓋をして実験室に運び、降雪試料は室温で融解し、重量を測定して留水量を得ています。

その後、あらかじめ300ml以上の純水で洗浄したメンブランフィルター(孔径:0.45µm)でろ過、フィルターは室温で乾燥後、デシケータ中に、またろ液はpHと導電率(以下、EC)を測定後冷蔵庫中に保存し、湿性沈着試料としました。回収時に少しでも留水の認められた時は、湿性沈着試料としています。分析に供した試料量が少ない時は、pH、ECの測定は行わず、主要イオン成分の分析を優先しました。

補修装置ブランク試料を作成し、試料から差し引いています。

降水の無い時もバケットに蓋をして実験室に運び、純水300mlでバケット内面をよく洗い、あらかじめ300ml以上の純水で洗浄したメンブランフィルター(孔径:0.45µm)でろ過し、ろ液のpHとECを測定しました。

フィルターは室温で乾燥後、デシケータ中に、また、ろ液は冷蔵庫中に保存し、これを乾性沈着試料としました。

(5) 測定および分析項目

降水量(湿性試料のみ)、pH、EC

溶解性成分:Ca2+、Mg2+、Na+、K+、NH4+、SO42−、NO3、Cl

(6) 測定および分析方法

降水量:留水量をバケット捕集面積(638cm2)で除して求めました。

pH、EC、Ca2+、Mg2+、Na+、K+、NH4+、SO42−、NO3、Cl:酸性雨等調査マニュアル(平成2年3月 環境庁大気保全局)に従っています。なお、溶解性成分の分析値は、イオンバランス及び測定ECと、分析値から計算されるECとの比が0.8〜1.2であることを目安に自己精度管理を行ったのち報告しています。