森林生態系炭素収支モニタリング概要

ユーラシア大陸北域の主要樹種であるカラマツを対象として、森林生態系の炭素収支機能の特性評価とともに観測手法の検証・評価を目指し、北海道苫小牧市に所在するカラマツ林において渦相関法を用いた炭素収支観測をはじめとする森林生態系の諸機能の定量的観測を2000年より苫小牧にて開始しました。加えて、北海道幌延町の針広混交林(天塩)で、森林生態系の炭素・窒素循環プロセスをカラマツ成長過程を通した長期観測を2001年より開始しました。苫小牧カラマツ林は、2004年秋に来襲した台風により全壊したため、観測拠点を2006年より富士北麓に広がるカラマツ林に移し、観測を再開しました。また、苫小牧においても、台風による森林の攪乱後の観測を行っています。各観測地での観測内容は各観測サイトのページを、観測データはデータ提供のページをご覧ください。

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観測手法一般

森林生態系と大気の間での物質交換、葉・幹・根・土壌など森林生態系の中での炭素循環(詳細は解説参照)を理解するため、総合的な手法を用いて観測を行っています。下記4つが主な手法です。

  1. 微気象学的方法により森林群落上で二酸化炭素やメタンなど温暖化ガスや関連成分の移動量を測る方法(渦相関法など)
  2. 植物による光合成・呼吸・土壌有機物の分解量などをそれぞれ測る方法(生理生態学的方法
  3. 樹木に蓄積された炭素量(バイオマス量)を測る方法(林学的方法
  4. 人工衛星や航空機を用いたリモートセンシングによる方法

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