「生物多様性・生態系保全と京都メカニズム」に関する国際シンポジウム・ワークショップ

概要


 地球温暖化防止のための国際的な取り組みの第一歩として、京都議定書が採択されました。その中では先進国(付属書B国)に対して、温室効果ガスを第一約束期間(2008~2012年)の間に削減すべき具体的な数値目標が義務づけられています。例えば、我が国では基準年までに6%の削減が求められています。議定書では京都メガニズムと呼ばれる制度が盛り込まれ、国外で得られた削減分を利用できるようになりました。CDM(Clean Development Mechanism)は、この京都メガニズムの一つであり、先進国(付属書Ⅰ国)と途上国(非付属書Ⅰ国)との間で、削減(エネルギー消費の削減のための新技術導入)や吸収源活動(新規植林、再植林)を行うことにより、発生した排出削減量を資金、技術援助を行った先進国が獲得する仕組みです。
 このCDMでは非永続性(CDMプロジェクトから発生するクレジットの時間的な有効性)、ベースライン(CDMプロジェクトによってどの程度の効果が現れたかを知るための比較の対象)、リーケッジ(プロジェクトを行うことによるプロジェクト区域外へ影響)や不確実性に加えて、地域社会や環境への影響などの問題が指摘されており、現在でも締約国間での協議が行われています。更には、CDMが実施される可能性が高い熱帯地域の国々は、豊かな生物多様性や複雑な社会・経済的背景を持つため、CDMがもたらすインパクトなどに対して、十分な配慮が必要です。そのため、COP9やその後のフォローアップに向けて科学的な見地(特に生態系や多様性保全や地域社会へのインパクトの視点から)に基づいたCDMの指針作りやその運用面での柔軟性を検討していく必要があります。
 本シンポジウムでは、温暖化対策としてのCDM(Clean Development Mechanism)やバイオマスク利用を目指した新規植林や再植林活動が地域社会を含んだ熱帯林生態系に及ぼすインパクトを主題として、京都議定書や地球温暖化枠組条約の関係者、温暖化対策の実施者、研究者の間で、森林管理や自然再生に対する「認識」の違いを共有することを目的とします。  更に、ワークショップでは、熱帯域における地域住民の資産、環境の保障や安全の確保や生物多様性保全のバランスを踏まえ、地域社会による持続的資源管理への参画や、生物多様性保全機能を維持しつつ、新規植林や再植林などの土地利用改変やランドスケープ管理を最適化するための科学的アプローチや手法を討論します。

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