パソの様子

Pasoh from Tower

Pasoh from Tower

マレー半島ネグリセンビラン州パソー保護林マレーシアの熱帯雨林は、世界でもまれな、多様で複雑な森林の一つといわれています。森林の巨大高木層を形成しているのが、アピトンとかラワンという名で 日本に知られているフタバガキ科の材木で、東南アジアの有用木の大半を占めます。このような低地多雨林を、マレーシアでは低地フタバガキ林とよんでいます。パソは、首都クアラルンプールの南東70kmにある、低地フタバカキ林の一つです。


パソの入り口

パソの入り口

パソの入り口です。パソ森林の北はおよそ2400ヘクタールの小さな森林保護区です。急速な開発の進行により、今では、半島マレーシアでも貴重な低地フタバガキ林の一つとなってしまいました。

パソの入り口

低地フタバガキ林

低地フタバガキ林は、今ではほとんどがゴムやアブラヤシのプランテーションとして開発され、 国立公園や学術参考林などの保護林を除いてほとんど見られなくなってしまいました。

林冠タワーからの景色

林冠タワーからの景色

1990年以降、国立環境研究所を中心に、調査区を用いた生態学的調査や、林冠アクセス用のタワー(52m1本、30m2本)を用いた、日射、気温、湿度、風向風速、雨量、二酸化炭素濃度などの観測を行っているほか、林冠における昆虫、鳥類の調査、植物の環境応答の測定も行っています。この写真は、林冠タワーからの景色です。

パソの地図

パソの地図

パソの森では、古くから学術研究が行われてきました。1970年代、日本、マレーシア、イギリスの研究機関 などによる国際生物学事業(IBP)がパソにおける学術研究を始めました。当時得られたデータは、現在においても なお、学術論文中で多数引用されることから、その重要性が伺われます。 1985年より、アメリカのスミソニアン研究所とマレーシア森林研究所が主体となって保護区内に 50ヘクタール調査区を設置し、5年に一度、調査区内の樹木について、直径計測やマッピングが行われています。
これまでの調査の結果、この50ヘクタール調査区内には約820種、約33万5千本の樹木(直径1cm以上)が生育してることがわかっています。 これらの長期観測モニタリングデータは熱帯林のダイナミクスや多様性の維持機構、 森林の炭素蓄積機能を知る上で、貴重なデータとなっています。 国立環境研究所も地球環境研究データベース事業(センターで確認してください)の一環として、 この50ヘクタールプロットでの長期植生モニタリングに共同研究機関として参加しています。

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