標準ガス管理開発

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大気中の二酸化炭素を測定する装置はいくつかありますが、いずれも「目盛りがバラバラな物差し」のようなもので、測定しただけでは正確な濃度がわかりません。測定するためには目盛りを付け直すことから始めなければなりません。目盛りを付け直すためには成分の濃度が正確にわかっているガスが必要です。

この「成分の濃度が正確にわかっているガス」を標準ガスといいます。

独自の高精度標準ガス

国立環境研究所では、手がけている観測のすべてに精度の高い独自の標準ガスを使用しています。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの観測については、わずかな変動を長期的に正確にとらえる必要があるので、変化しない正確な基準が必須です。

国立環境研究所の標準ガスは、国内・海外で同様の観測を行っている機関と相互に比較し、濃度が変化していないか、お互いにチェックしています。

NIES95 Primaryの濃度安定性

濃度安定性グラフ

右のグラフ(図1)は、国立環境研究所の一次標準ガスであるNIES95 Primaryの濃度がほとんど変化していないこと示しています。作成時からの二酸化炭素の濃度の変化は±0.05ppm以下です。(クリックで拡大表示)

各機関の標準ガスの比較

各機関標準ガス比較グラフ

右のグラフ(図2)は、2002年~2007年に行われた世界気象機関主催の国際比較(Round-robin 2002–2007)の結果です。国内・海外の観測を行っている28機関が参加しました。(クリックで拡大表示)

標準ガスの使い方

標準ガスの作り方図
一次標準ガス
キログラム原器のようにいちばんの基準となるガスです。シリンダ(高圧ガスボンベ)に純粋な二酸化炭素と精製した空気を順に充填し、それぞれ高精度天秤を使用して質量を精密に測定します。測定した二酸化炭素と空気の質量から標準ガスの二酸化炭素濃度が求められます。国立環境研究所では濃度の異なる8種類の標準ガスをこのようにして作成し(図1 NIES95 Primaryの濃度安定性参照)、その8本組の標準ガスを一次標準ガスと呼びます。
二次標準ガス
一次標準ガスは天秤で質量を精密に測定することから、小さなシリンダで作成します。しかも長期間にわたり観測の基準としますので多量に消費するわけにはいきません。そこで、大きなシリンダの標準ガスを作成し、一次標準ガスを基準に精密に較正(分析)し正確な濃度を求めて二次標準ガスとします。いわば、一次標準ガスのコピーです。
現地観測用標準ガス
観測に合わせていろいろな濃度、容量のものが作られます。この現地観測用標準ガスが、航空機による観測にも、陸上での観測にも、船舶による観測にも用いられます。現地観測用標準ガスは簡易的に作ったガスを、二次標準ガスを基準にして較正し正確な濃度を求めたもので、その後、観測現場に運び込みます。

観測現場