温暖化影響モニタリング(海洋生物)

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サンゴ

水温の上昇により、サンゴの分布が北上しているという報告がなされています。サンゴの種の変化をモニタリングすることで、温暖化の影響を明らかにします。またサンゴ体内に共生している褐虫藻には、環境耐性や遺伝型の異なるタイプが知られています。褐虫藻の遺伝型の変化についてもモニタリングを行い、温暖化の影響を明らかにします。

これまでに、1. 温暖な地域に生息する種(温暖化の指標種)を特定するための緯度の異なる地点でのサンゴ分布調査、2. サンゴ分布の北上可能性を明らかにするための過去のサンゴの出現記録と現在の分布の比較、3. 温暖化の指標となるサンゴ種の褐虫藻の遺伝型を明らかにするための遺伝子解析、以上のような研究を進めてきました。

目的

南北に長い日本では、熱帯・亜熱帯に起源を発するさまざまな生物の分布北限域が、国内沿岸域の各所で認められます。造礁サンゴ(以下、サンゴ)は、日本海側では新潟県、太平洋側では千葉県が分布北限となっています(図1)。過去100年で、日本近海の水温は1度程度上昇しており(図2)、こうした分布限界域での生物分布の変化を明らかにして長期的にモニタリングすることにより、温暖化の影響を評価できることが期待されます。

国立環境研究所地球環境研究センターでは、日本周辺に分布するサンゴとそれに共生する褐虫藻を対象として水温上昇の影響を継続的にモニタリングしています。(図はクリックで拡大表示)

figure 図1. 日本近海の最近100年間の水温上昇(気象庁海洋の健康診断表より)と、サンゴ分布の北上・拡大情報

figure 図2. 主なサンゴ分布の緯度変化 ミドリイシ属の多くは南の水温の高い地点に分布しているため、それらを指標とした温暖化影響のモニタリングが可能[杉原ほか(2009)を改変]

成果と今後の予定

写真:サンゴ分布調査
  • 九州から本州沿岸にかけてのサンゴ分布調査により、ミドリイシ属のサンゴが水温の低下にともなって分布しなくなることが明らかになりました(図2)。この結果は、ミドリイシ属のサンゴを用いることにより、温暖化の影響が検出できることを示しています。
  • 過去のサンゴ出現記録と比較することにより、日本周辺の複数の地域でサンゴ分布が 北上・拡大している可能性が示されました(図1)。

こうした結果に基づき、日本の8箇所で、現在進行中の他の調査研究(環境省モニタリングサイト1000事業、NPO法人OWS北限域の造礁サンゴ分布調査、国際サンゴ礁年活動日本全国みんなでつくるサンゴマッププロジェクトなど)との連携を行ってモニタリングを行っています(写真:NPO法人OWSによる静岡県伊豆におけるサンゴ分布調査)。