日本-東南アジア航路
概要と成果
日本-東南アジア航路では、経済発展が著しい東南アジア域の温室効果ガスや短寿命気候強制因子(SLCF)の排出を捉える目的で2007年から洋上大気の温室効果ガス観測を行なっています。観測は2005年まで日本-オセアニア航路を担った(株)フジトランスコーポレーション所属の自動車運搬船「FUJITRANS WORLD」が担当し、2010年から2014年まではトヨフジ海運(株)所属の自動車運搬船「TRANS FUTURE 1」とともに2隻体制で実施しました。さらに2018年から2019年にはトヨフジ海運(株)所属の自動車運搬船「TRANS HARMONY 1」が「FUJITRANS WORLD」に代わり観測を行いました(現在は「FUJITRANS WORLD」が観測に復帰しました)。

これまでの観測から航路上付近に点在する洋上油井・ガス井からのメタン漏出量を見積もるとともに、航空機による観測と組み合わせて解析を行うことで大規模な泥炭火災による二酸化炭素(CO2)放出量を精緻に評価することができました(Nara et al., 2014; Niwa et al., 2021)。これらの排出は人為的な対策による抑制が可能となることから、“動く観測サイト”としての利点を生かした監視活動が今後も期待されます。
