観測大気の特徴

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観測大気の由来

観測大気の起源・由来を推定することは、ベースライン濃度の判定や観測大気の特性を検討するために不可欠な作業です。 ここでは、1996年の毎9・21時における両ステーションにたどり着くエアーマスの流跡線解析して得られた区分の月別出現頻度を図「エアーマス区分の月別出現頻度(1996年)」に示します。
両ステーションともに、冬期には西〜北西方向のシベリア気団、夏期には東〜南東方向の太平洋・小笠原気団からのエアーマスが卓越します。 しかし、両ステーションの所在位置の特徴から、波照間では冬期には人間活動の盛んな台湾・中国中部、夏期には人為的な影響が少ない中部太平洋からのエアーマスが卓越していることがわかります。
一方、落石岬では、冬期には中国北部・沿海州、夏期には北部太平洋からのエアーマスが卓越していますが、人間活動の活発な本州東海岸に沿って流れて来るエアーマスが一部存在しています。

エアーマス区分の月別出現頻度 図「エアーマス区分の月別出現頻度(1996年)


波照間におけるエアーマスと大気微量成分との関係(CO2の場合)

上述の結果から、観測大気の由来・起源によって、大気微量成分が大きく変動することが予想されます。
図「エアーマス区分別の大気微量成分平均濃度分布(1996年)」に波照間で観測されたエアーマス区分ごとの大気微量成分の年間平均値を示しました。季節的な変動は無視していますが、いずれの場合でも、中国大陸からのエアーマスと比べて、太平洋海域からのエアーマスの場合で濃度が低くなり、人為的な影響を受けていないベースライン濃度であることを示唆しています。 また、パーティクル数は、台湾・中国中南を経由したエアーマスで最も多くなり、当該地域が燃焼過程や黄砂などの浮遊粉塵の大きな発生源であることがわかります。
なお、落石岬では、本州東岸を経て移流してくるエアーマスの場合に、工場や自動車が主な発生源である窒素酸化物濃度が高まることが確認されています。
したがって、両ステーションにおける温室効果ガスの観測値が、そのまま当該緯度帯を代表するベースライン濃度であるとは言えず、観測大気が移流してきた経緯などによって、大きく影響されていることがわかります。

エアーマス区分別の大気微量成分平均濃度分布 図「エアーマス区分別の大気微量成分平均濃度分布(1996年)」