GEMS/Water St. No.080016
摩周湖ステーション
カテゴリー:ベースライン
摩周湖環境保全連絡協議会
(北海道川上郡弟子屈町中央2-3-1)
国立研究開発法人 国立環境研究所
(茨城県つくば市小野川16-2)
湖沼として、GEMS/Waterのベースラインモニタリングステーションに登録された唯一の地点である。摩周湖は北海道の東部に位置するカルデラ湖で、摩周火山の噴火・陥没によって数千年前に形成された。湖面は急なガケで取り囲まれ、流入・流出河川はない。湖面と集水域全域が阿寒国立公園の特別保護地域に指定されているため、通常は人の立入はできない。急峻なカルデラ壁は湖の中にまで落ち込んでおり、岸からすぐに水深100mに達する。それに反して湖底面は平坦で、湖の断面は鍋底のようである。 上記の地形的条件に加え、しっかりとした保護を受けているため、摩周湖の汚染レベルは低く保たれている。さらに、摩周湖には河川がないことから、集水域よりは、むしろ大気経由の汚染負荷の影響を検出しやすい条件を有している。この特徴を生かして、陸水域のベースラインモニタリング調査を実施している。
摩周湖の湖心部、水深211mの地点で、深さ毎の採水を行っている。国立公園の特別地域に位置しているため、調査には種々の許可が必要となる。 調査にあたっては、諸許可を得た上で、カムイシュ島の北東、最深部で採水を行っている。表層から200mまでの5点の各深度で測定することで、調査の年にもたらされた影響を評価することができる。
毎年1回、8〜9月頃
湖の最深部で、微量分析用に洗浄した採水器を用いて、深度ごとの採水を行う。
pH,透明度,電気伝導度,溶存酸素,水温,総リン,アンモニア,硝酸イオン+亜硝酸イオン,溶存マグネシウム,溶存ナトリウム,溶存カルシウム,溶存カリウム,溶存塩化物イオン,硫酸イオン,BOD,COD,総カドミウム,総鉄,総鉛,総マンガン,総ニッケル,総亜鉛,総PAH,リンデン
1931年には41.6mの透明度を記録しています。この値はバイカル湖をしのぎ、湖沼透明度の最高値です。近年の透明度は15〜30mの範囲で推移している。
汚濁に関連する諸項目(重金属、栄養塩、多環芳香族炭化水素など)の濃度は極めて低い状態を維持している。既に使用禁止された殺虫剤で、湖水に残存するリンデン(BHC)の濃度は減少を続けている。
流入流出河川がないため、水質は年々大きく変化することはないが、温度躍層の上部に雨水など大気経由の汚染物質などが蓄積する特性がある。そのため、何か大きなインパクトがあった場合は、深さ方向の変化として現れるはずである。摩周湖底質中の鉛同位体など、長期的には負荷源が変化していることが明らかであるので、精度の高い分析を長期間継続することが求められている。
近年、新聞などで摩周湖の透明度が下がりつつあるという報道がなされているが、国立環境研究所と北海道環境研究センターなどが協力して、摩周湖の透明度に関する研究を実施する予定となっている。