熱帯林の減少


パソ周辺域の植生・土地利用の変化

パソ周辺域の植生・土地利用の変化

FAO(国連食糧農業機関)が2001年3月に出した「世界森林白書2001(State of the World's Forests 2001)」によれば,2000年現在の森林面積は約38億7000万haであり,これは全陸地面積の約30%にあたります。

また森林の中でも熱帯林の減少・荒廃は顕著で,1990~2000年の間に1億2300万ha減少しています。これは日本の面積の3倍以上です。

右の図は,今回の研究地点であるマレーシア半島部内のパソ近辺の森の1971~96年までの土地利用の変化です。25年の間に,60km四方のエリア内の緑が大幅に減っているのがわかります。オレンジがアブラヤシ,ピンクがゴムのプランテーションです。これらは農地です。近年はゴムよりアブラヤシの開発が増えており,その分森林面積が減ってきています。

半島部マレーシアにおける森林の減少の原因は,主にプランテーションの開発によるものです。また商業伐採ではブルドーザーなどの重機を使用することが多く,土壌の流亡が起きたり,さらに林道や搬出道では土壌の緻密化が起こるので植生の復活が遅れるなど,実質的な森林環境の劣化が問題となっています。

一方熱帯林劣化の背景としては,経済的な側面に加え構造的なものもあります。熱帯林を持っている国々では,土地の所有者と伐採業者とが一致しないことが指摘されます。森林や土地が個人所有の場合には,次の世代のことも考えながら森林管理が行われますが,マレーシアなどの場合は,土地の所有権は国や州が持ち,伐採権を伐採業者に有償で与えています。このため,伐採業者は目先の利益だけを考えがちで,適切な森林管理が行われずに,熱帯林が荒らされていくケースもみられます。

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