熱帯林に関する共同研究の内容


発芽実験の様子

発芽実験

発芽実験の様子

動物の調査

発芽実験の様子

気象観測

熱帯林は地球上の半分以上の生物種が生息する多様性のゆりかごと呼ばれています。また、地上部には高い生物量(バイオマス)を蓄えることから、炭酸ガスのシンクとしてその存在が重要視されております。しかし、近年、熱帯林の減少や劣化は急激な勢いで進んでいるため、熱帯林機能の解明、修復技術の開発などを含む研究プロジェクトが世界中で進められています。

本熱帯林共同研究では、特に東南アジアの熱帯林に注目し、半島マレーシアの熱帯林における動植物などのインベントリー的調査に加え、同一サイトにおける二酸化炭素フラックス、気象、水門、社会経済学的な調査も行っており、生物学的調査に限定しない様々な角度からの調査を行っています。

熱帯域におけるエコシステムマネージメントに関する研究


 世界中で森林減少が最も深刻なのは熱帯地域です。1990年~2000年の間に毎年1460万haの割合で森林が消失しましたが実にその97%を熱帯地域の森林減少が占めています。そして今なお熱帯地域での森林は減少し続けています。熱帯林減少の背景は森林から農地への土地利用転換ですが,その根本的な原因としては熱帯地域社会での自然資源への高い依存性が上げられます。すなわち森林を温存するよりも換金性の高い農作物の栽培や木材の切り売りの方が,社会・経済的にみて魅力が高いからです。

 ところが森林には炭素の貯留機能や土壌の保全,生物多様性の保全機能など様々な公益機能(エコシステムサービス)があります。森林減少・劣化に歯止めがかからないのは森林が持つエコシステムサービスが適正に評価されないまま短期的な利潤追求によって開発が進んだことが原因であるとも言えます。

 こうしたことから本共同研究では社会・経済―生態系の適切な関係に基づいた生態系管理理手法(エコシステムマネージメント)の開発を目標に,

  1. 熱帯林が有するエコシステムサービスの分析

  2. 土地改変に伴う環境リスクの事前評価やゾーニングプランの提唱

  3. 地域住民との合意形成推進のための自然資源と地域社会の関わり合いについての調査研究

を行っています。研究はマレーシア半島部のネグリセンビラン州の一部の約60km四方を調査対象地とし,この域内の土地利用変化に伴うエコシステムサービスの変化,並びに地域社会と森林との関わりの変遷についての調査,さらには地理情報システム(GIS)を利用したリスク評価プログラムの開発を行っています。

エコマネージメントの概要

共同研究に関する情報


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