熱帯林の持続的管理の最適化に関する研究(1999年度~2001年度)
本サブテーマでは森林伐採搬出技術の問題を扱い、持続的林業経営と森林公益機能の減退を招かないような、 環境インパクトの小さい搬出技術開発の研究を行っている。熱帯天然二次林(ブキタレ水文試験地)の伐採作業における、林道・集材路の作設に伴う土砂流出要因(土工量、土の移動量、撹乱部の土壌理学性)を測定し、熱帯天然林(トレンガヌ州有林) 内で実施しているタワーヤーダを利用した低インパクト択伐作業方法について、林床撹乱に関する調査を進めた。なお初年度であるので データの取得を重点的に実施した。その結果、以下の4点が明らかになった。
1)斜面に作設された集材路を、地形によりいくつかのパターンに分類して、土工量とリルの発生頻度について検討するためのデータを取得した。
2)伐採区域から流出する渓流の水質・土砂流出データと比較されるため、伐採の進行(集材作業路の作設)状況の時間データ、集材作業路の総土工量データを取得した。
3)ブキタレ水文試験地における集材地調査結果では、車両の踏圧により土壌の締固めが顕著であり、特に土場、作業道、 幹線集材路各切土の深さ10cmでは密度が2前後となっていて、限界近くまで締固められていると考えられた。
4)タワーヤーダ集材跡地の林床の撹乱は、急斜面上でのみ生じている。集材路の作設がないため表土を失った強度撹乱面が ほとんど見られず、ブルドーザ集材跡地の結果と比較すると明らかに低インパクトであった。